ナゴミst5「叶わぬ夢、叶える夢」

      イルマ「今日の集会は、特に予定はないんでしたっけ・・・?」
      ナゴミ「そうなの?」

          いつもの集会日。
          でも今日はお仕事きてないみたい。

     シャーム「···どうだっけ?」
      ラルム「どうなんでしょう?」
      イルマ「多分なかったような・・・気が・・・不安になってきましたっ」
      ナゴミ「ま、あたしに任せておけばどんなお仕事きててもらくしょーだけどねっ」
     シャーム「ナゴミさんは···すごいんだね」
      ラルム「なんと頼もしいっ」
      イルマ「さすがナゴミさんですっ」
      ナゴミ「ふふん、当然よっ」
      イルマ「えーっと・・・今日の予定予定っと・・・」

          イルマがカドマツ(だっけ? ちっちゃい機械)を取り出して操作し始める。
          たぶんお仕事がきてるかどうか調べてる。

      イルマ「うん、やっぱり今日も来週もその先も予定は真っ白ですっ」
     シャーム「···そうなんだ」
      ラルム「平和ってコトですねっ」
      ナゴミ「アークスじょうとうぶ? がサボってるんじゃないの?」
     シャーム「上層部···どうでしょうね···」
      イルマ「平和が一番ですね! あでも上等部?さんもレギアスさんとか先遣地域の見回りに急がしそうでしたよっ」
     シャーム「···確かに、行くと···会うね」
      ラルム「なにか大きいお仕事の準備期間かもですねーっ」
      ナゴミ「おっきいお仕事くるんだ!?」
      イルマ「最近はDF達も本気出して来てますもんね・・・!」
      ナゴミ「腕がナマるわねっ」
     シャーム「鈍る?」
      イルマ「DF相手に、腕がなまっちゃうんですか・・・!? すごいっ」
      ナゴミ「・・・? 楽しみでわくわくするって意味よ?」
     シャーム「それは···腕がなる、ですね」
      ナゴミ「・・・し、しってるわよっ」
     シャーム「とはいえ···DFの···襲撃は···多いですね」

         『まもなくショップエリアでステージライブを開催します』

      ナゴミ「あれ? さっきもダンスやってたのに」
      イルマ「ほんとに・・・あ、今日はダンスがあるんですね!」
     シャーム「···ダンスだね」
      イルマ「えっ 続けてやるんですね? それは賑やかですっ」
      ラルム「あの踊られてる方々も毎日大変ですねーっ」

          そんな話をしてたら、よくしらない子がきた。
          アイドルのクーナみたいな髪型のかわいい子。

      イルマ「あ、ハミューさんこんばんは!」
ハミュー=ウェルパ「こんばんわっ」
     シャーム「こんばんは···」
      ナゴミ「こんばんはっ」
      ラルム「こんばんはー、ですっ」

          ……え? あれ?
          聞いたことある声……っていうかイルマ、ハミューって呼んだ?

      ナゴミ「・・・ハミュー?」
ハミュー=ウェルパ「え?・・・うん??」
      ナゴミ「ハミュー!?」
      ハミュー=ウェルパ「え・・・ど、どうしたの??」
     シャーム「?」
ハミュー=ウェルパ「・・・・」
      イルマ「そういえば、最近会ってませんでしたっけ・・・?」

          久しぶりに会ったハミューは、髪が伸びて、ピンク色っぽく染めてて、ふたつに結んでて、
          なんていうか、かわいい女の子みたい。

      ナゴミ「うわぁ・・・その髪型きもいわね。女の子みたい」

          ……なんかよくわかんないけど、すっごくイヤな気分。

      ハミュー=ウェルパ「え、ちょ・・・ちょっとまって」
     シャーム「···辛辣」
ハミュー=ウェルパ「ぼ、ボクだって望んでこの髪型になったんじゃなくてね・・・?」
      イルマ「えっ でも とってもかわいいと思いますよ!」
ハミュー=ウェルパ「えっと・・・市街地の3番エリアの有名な美容院で髪の毛きってもらいにいったら・・・」
      ナゴミ「・・・・・・」

          よくわかんないけど、イライラする。
          あたしはどんなにお願いしたってそんなかわいい髪型になんてしてもらえないのに。

          だって、あたしには、「髪の毛」がない。

      ナゴミ「・・・ふうん」
ハミュー=ウェルパ「オススメで・・・こうなっちゃって・・・」
      ラルム「中性的なお顔立ちですし、とてもお似合いですっ」
     シャーム「···よく···お似合いかと···思いますよ?」
ハミュー=ウェルパ「ぼ、ボクだってもっと男らしい髪型に・・・え、そ、そう・・・なんでしょうか?」。0(よ、喜んでいいのか・・・悩みます・・・)

          ハミューは、ずるい。
          あたしだってそんなきれいな髪の毛ほしかった。

          あたしだって、ヒューマンのときはきれいな自慢の金髪だったのに。

      ナゴミ「・・・いいんじゃない? 女の子みたいだけど」
ハミュー=ウェルパ「ぼ、僕は男ですっ」
      イルマ「うーん、男らしいのもいいと思いますっ でも、その髪型もハミューさんらしくっていいんじゃないでしょうかっ」
     シャーム「うんうん···」
      ラルム「個性的でよろしいかとーっ」

          あたしも、かわいい「普通の」髪型にしたいのに。
          こんな、金属の「髪型を真似したヘッドパーツ」じゃなくて。
          ちょうど、そんなことを考えてたタイミングだったから。



ハミュー=ウェルパ「ちょっとなごみちゃんと同じ感じだからいいかなーって思ったりもしたけど・・・」



          だから、思わずカーっとした。

      ナゴミ「同じ? どこがよ!!」




      イルマ「ツインテールでおそろいでs・・・うわっ!?」
ハミュー=ウェルパ「え・・・、ふたつにまとまってるとこ・・・とか?」
     シャーム「!?」
      ナゴミ「・・・あっ、ご、ごめん。な、なんでもないっ」

          びっくりするみんなの顔を見て、ちょっと冷静になった。
          ばつが悪くなって、みんなからちょっとだけ離れて木のそばに腰を下ろす。

ハミュー=ウェルパ「・・・ごめん、気に障る事いったなら・・・ごめん」
      ナゴミ「べ、別にそういうんじゃないわよっ」
ハミュー=ウェルパ「う、うん・・・」。0(何かまた・・・いっちゃったのかなぁ・・・こういう怒り方するなごみちゃん久しぶりだから・・・)
      イルマ「ど、どうしちゃったんですかナゴミさん・・・っ あたしも変なこと言っちゃってたら謝りますっ」
      ナゴミ「だ、だからそういうんじゃ・・・」

          否定しかけて。
          でも、そっか。話さなきゃみんなにはわかんないことだ。

      ナゴミ「・・・あたしのは、「髪の毛」じゃないんだもん。かわいい髪型にしたりできていいなって思っただけ、それだけよっ」

          言っちゃってから、なんだか恥ずかしいような居心地が悪いような気持ちになって、

      ナゴミ「ハミューのその髪型はきもいけどっ」

          思わず一言つけ加えちゃう。

      イルマ「えっ そうなんですか・・・? でもナゴミさんのも可愛い髪型だと思うんですけど・・・」
      ラルム「おや?ナゴミ先輩のソレは毛髪ではないのですねー」
      ナゴミ「・・・うん、金属だもん、髪の毛じゃないの。もともとのあたしの髪の毛の色と同じにしてるって言われたけど・・・」
      ラルム「金属は金属で良いのではないでしょうか? なんていうか、丈夫そうでっ」
      ナゴミ「あたしはもっといろいろ髪結んだりしたいもんっ」

          病気で、このままじゃもう生きていられないって言われて。
          すごく怖かったけど……パパとママが「買ってくれた」この身体に手術してもらって。
          病気がなくなって、今も元気に生きていられて、もちろんうれしいし感謝してる。

          でも、同時に。
          朝起きたら寝癖がすごくて、遅刻しそうなのにぜんぜん治らないとか。
          風に揺られた髪の毛がほっぺをなでてくすぐったいとか。

          そういう、失くしちゃったものがどうしようもなく恋しいときがあるの。
          きっともう、あたしには手に入らない、叶わぬ夢。

ハミュー=ウェルパ「 ・・・でも、僕は今のなごみちゃんが大好きだけど・・・きもいって言われてるけど・・・
          ううん、そうじゃなくて・・・なごみちゃんはなごみちゃんだから、そのままでいいと思うかな・・・
          でも・・・なごみちゃんが違う形を望むなら僕も応援する、お手伝いするよ」
      ナゴミ「お手伝いって何する気よ?」
ハミュー=ウェルパ 。0(あ・・・気持ち悪いっていわれてるなら近づいたらだめだったかな・・・)
ハミュー=ウェルパ「生体パーツ、だよね?」
      ナゴミ「うん」
ハミュー=ウェルパ「僕もキャスト工学の勉強はじめたんだ・・・まだ全然だけど」
      イルマ「えーっと、金属の髪でもがんばれば結んだりできないでしょうか・・・っ」
ハミュー=ウェルパ「金属だと・・・一度結んじゃうと・・・」
      ナゴミ「なんかれーきゃく? を兼ねてるから変えちゃダメって言われたわ」
      イルマ「ハミューさん、勉強熱心ですごいですっ」
ハミュー=ウェルパ「イルマさんのトレーニング力にはまだまだ及ばないです」
      イルマ「ううーん、そうなんですか・・・」
      ナゴミ「もともとそれ用に作られたのじゃないとダメって」
ハミュー=ウェルパ「たぶんそうなると・・・ヘッドパーツだけじゃなくて全部作り直しなんだと思う・・・」
      ナゴミ「ぜんぶ?」
ハミュー=ウェルパ「うん・・・足元から頭まで、かな?」
      イルマ「ええっ そんなに・・・!?」
      ナゴミ「生体ボディはすっごく高いって言われたわ」
ハミュー=ウェルパ「だから僕も手伝うよ」
      ナゴミ「手伝うって言ったって、何するのよ?」
      イルマ「なんかそれだと・・・ナゴミさんの面影がなくなっちゃうような・・・」
ハミュー=ウェルパ「面影よりやっぱり自分が望んだ姿になりたいと・・・思います」
ハミュー=ウェルパ「僕だってもっと男らしくなりたいですし」
      ナゴミ「それならハミューはまず髪型をどうにかしなさいよ」
       迅雷「よ、どうもなー…んで、何の話だったん?」
     アドニス「やあやあ。みんな、今日はここに集まっていたんだね。それで、何か話しの途中だったりした?」
      ナゴミ「ハミューの髪型がきもいって話!」
      ラルム「イルマ先輩は最終的にたい焼き、という話題もあった気がします」
ハミュー=ウェルパ「お仕事もだし・・・って髪型なら帰ったらちゃんと切ってくるよ」

          イルマがジンライとおにーさんに小声で何か話す。
      イルマ「あ、ええーっと・・・ナゴミさんが髪型を変えたりしたいんだそうです・・・ #小声」
       迅雷「んあ?そうなん?」
     アドニス「ふうむ」

      イルマ「ええーっ ハミューさん、髪切っちゃうんですか? もったいないですっ」
     シャーム「···似合ってるのに」
ハミュー=ウェルパ「切るというかそろえるだけです。というより・・・多分この赤色の部分が・・・」
       迅雷「…伸びたな」
ハミュー=ウェルパ「なんだか色々美容院にいったらされてしまって・・・」
       迅雷「はー、そいつはすげえ」
     アドニス「長いといろいろできるからねー」
      ナゴミ「リボンまで付けて、女の子みたいよね」
       迅雷「リボンもセットなん?」
ハミュー=ウェルパ「これも・・・付けられて・・・」
     シャーム「···そうなんだ」
ハミュー=ウェルパ「ティルトさんもちょっと難しい顔してました・・・#苦笑い」
       迅雷「…お前さん、きちんと男だって言ったか? 担当間違ったんじゃね?」
      イルマ「そ、それはありそうです・・・っ」
ハミュー=ウェルパ「性別とかいうんですか?美容院って!?」
       迅雷「いや、普通言わんね」
     アドニス「まあ、普通は言わないかな…」
     シャーム「···言わない」
ハミュー=ウェルパ「で、ですよね・・・」
      ラルム「でも間違えてしまったのも頷ける気もしますねー」
      イルマ「ですですっ」
ハミュー=ウェルパ「頷かないでください・・・」
       迅雷「…ん?そういや短髪俺だけか?」
ハミュー=ウェルパ「背だってちょっと伸びたのに・・・」
     シャーム「···そういえば···そうですね」
      ナゴミ「う・・・前はおんなじくらいだったのに」
       迅雷「流行ってんのか…?長髪…」
     アドニス「生身は自然と成長するからねー」
ハミュー=ウェルパ「流行ってるかは・・・どうなんでしょう・・・」
     シャーム「···伸ばしてみたら···どうです?」
     アドニス「我輩の場合は、流れみたいなものかな」
      イルマ「男の子ですから、すぐにあたしも越えられちゃいそうですっ」
       迅雷「俺は成長期終わってんね…」

          自然と成長する。
          ヒューマンのときには当たり前のことだったのに、失くしちゃってからもうずいぶんたつ。

     アドニス「そういえば生身だと髪も勝手に伸びるけど」
       迅雷「んあ、伸びると面倒いからさっさと切っちまうなあ」
ハミュー=ウェルパ「はぁ・・・僕もまだまだなりたい自分まで遠いなぁ・・・」
     アドニス「キャストの場合、髪型は完全にファッションになるのかな?」
       迅雷「あー、どうなん?」
      ナゴミ「あ、うん、伸びたりはしないわ。あたしのこれは金属だもん」
       迅雷「ふーん、そうなんな…」
     シャーム「へぇ···」
       迅雷「おっさん頭もメカだからわからんのな」
     アドニス「金属かあ。かなり特殊な素材じゃないと、自然に伸びたりはしなさそうだね」
ハミュー=ウェルパ「そうですよね・・・」
     アドニス「でも、セットしたような状態を保てるのは、強みかもしれないねー」
      ナゴミ「あたしだって髪結んだりリボンつけたりしたいもん」
      イルマ「でも、ハミューさんが勉強してすごい髪を作ってくれるんですよね?」
       迅雷「え、そうなん?」
ハミュー=ウェルパ「キャスト工学の勉強ははじめましたので・・・」
       迅雷「はー、すげえなソレ…」
ハミュー=ウェルパ「原価を抑えた生体パーツですね・・・」
       迅雷「やっぱ高いんな…生ってもんは」
ハミュー=ウェルパ「僕がやりたいことですので!頑張ってみようと思います!」
       迅雷「おう、頑張ってくれ」
 ゼルダ・バイデン「はあい。ウフ♪お疲れ様。それで…今日は皆で何のお話?」
       迅雷「ん、髪?」
      ラルム「髪の毛のお話でしょうか」
 ゼルダ・バイデン「髪の毛?へぇ。オシャレ話なのねぇ」
       迅雷「ゼルダは…どの辺髪なん?」
 ゼルダ・バイデン「え?そりゃ ここからこのへん?#眉間をさしながら」
       迅雷「ん?んーあー…まあ、あるのな…」
      イルマ「ええっ 区別があったんですか・・・!」
     シャーム「···眉間?」
 ゼルダ・バイデン「あるわよぉ」
      イルマ「生体パーツだと、目の玉が飛び出るようなお値段になりそうですもんね・・・!」
     アドニス「そうか、生体パーツという手が」
ハミュー=ウェルパ「うん・・・普通のだとすごい高いですね・・・」
      ナゴミ「ハミューが作ってくれるの?」
ハミュー=ウェルパ「ちょっと時間かかるかもしれないけど・・・なごみちゃんが望む姿になれるなら僕もがんばるよ」
      ナゴミ「え? は? 作れるのっ?」
ハミュー=ウェルパ「時間はちょうだいね・・・?」
     アドニス「ずばりお洒落の話だけど、キャストの髪のお洒落はメセタがかかるみたいだね」
      イルマ「勉強熱心なハミューさんなら、きっと大丈夫ですっ」
      ナゴミ「早くよ早くっ」
ハミュー=ウェルパ「がんばるから!一緒にがんばろう!」
      ナゴミ「うんっ、ありがとっ」
ハミュー=ウェルパ「うん」

          ハミューがあたしのために生体ボディを作ってくれる。

          病気が治るって言われたときよりも、
          ママとパパがちょっと無理をして、新しいパーツを買ってくれたときよりも、
          それはずっと素敵なことに思えた。

 ゼルダ・バイデン「それで ふむふむ 二人は甘酸っぱいのは理解できたわ」
ハミュー=ウェルパ「甘酸っぱい・・・?料理の話じゃないですよ?」
     シャーム「アマスッパイ···?」
      ナゴミ「あまずっぱい?」
 ゼルダ・バイデン「い、いや なんでもないわ」
      ラルム「蜂蜜レモン的なアレですねっ」
       迅雷「急だな、まあ合ってる気はすっが…」
 ゼルダ・バイデン「まぁ確かにキャストは…私達みたいにまとめれば変化ってわけじゃないものねぇ…」
      イルマ「いつのまにかおいしそうな話になってきました・・・っ」
ハミュー=ウェルパ「料理のお話ですか??甘いのつくりますか??#突然上機嫌」
 ゼルダ・バイデン「あらん♪作ってくれるのぉ?」
       迅雷「ん?いや別に…てか作れんのか?」
ハミュー=ウェルパ「折角ですしみなさんでつくってみますか?」
      ナゴミ「きゅ、急に機嫌よくなったわね」
     アドニス「ほんのり甘くて爽やかな酸味…物足りないようでいて、いつまでも味わっていたい、そんな感じだねー」
     シャーム「···おにーさん···難しい?」
     アドニス「ハハハ、難しそうに言ってみただけさ!」



          ひとりでぐじぐじしてたってなんにもならない。

          手伝ってくれる人がいる。
          なら、始めよう。始めなきゃ。

          見てるだけの夢なんて叶いっこない。
          夢はきっと、叶うものじゃない、叶えるものなんだ。

  • 最終更新:2015-09-13 14:31:16